自動車の自動運転技術すごいですよね!将来完全な自動運転になるんだろうなぁ。と漠然と考えている皆さま!
もし「完全自動運転」が当たり前になった世界で、命の選択を迫られる事件が起きたらどうなるでしょうか。
今回ご紹介するのは、第2回北陸文庫大賞でグランプリに輝いた、安野貴博さんの傑作『サーキット・スイッチャー』です。現役のソフトウェアエンジニアでもある著者だからこそ描ける、リアリティ溢れるITサスペンスの魅力を深掘りしていきます。

安野貴博さんは自動運転の未来が来ることを予見して自動車免許を取得していません!!それだけ自動運転へかける思いが強いからこそ書ける小説です!
サーキット・スイッチャー作品紹介
本作は、第9回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞し、その後多くの著名人からも絶賛されている話題作です。
- タイトル:『サーキット・スイッチャー』
- 著者:安野 貴博(あんの たかひろ)
- 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫JA)
- 刊行日:2022年1月19日(単行本)、2024年4月5日(文庫・電子書籍)
- ページ数:288ページ
- 評価:メタルギアソリッドの製作者・小島秀夫氏も絶賛。また、書評家の吉田大助氏は「令和のデビュー作五傑」に入ると評価。
あらすじ
人の手を一切介さない”完全自動運転車”が急速に普及した2029年の日本。
自動運転アルゴリズムを開発する企業、サイモン・テクノロジーズ社の代表・坂本義晴は、ある日仕事場の自動運転車内で襲われ拘束された。「ムカッラフ」を名乗る謎の襲撃犯は、「坂本は殺人犯である」と宣言し尋問を始める。その様子が動画配信サイトを通じて全世界へ中継されるなか、ムカッラフは車が走っている首都高速中央環状線の封鎖を要求、封鎖しなければ車内に仕掛けられた爆弾が爆発すると告げる……。
ムカッラフの狙いは一体何か――?テクノロジーの未来と陥穽を描く迫真の近未来サスペンス長篇。

極度の対人恐怖症の主人公坂本義晴は毎日の業務を自動運転でこなしているって設定も面白い!人に出会わなくてもいいって可能性も自動運転には秘めているね!

ちなみに、サーキット・スイッチャーの編集者は妻である黒岩里奈さんが担当されています。
感想:SFの枠を超えた「至近未来」のリアル
本作を読んでまず感じるのは、単なるSF小説ではなく、極めて近い未来起こるであろう現実のお話だということです。特に作家がITエンジニア出身ですから、質の高い「ITサスペンス」になっています。
1. エンジニアならではの圧倒的説得力
著者の安野氏は現役のエンジニアであり、AIやアルゴリズムの仕組みに関する説明が非常に明快です。
プログラミングの基本や本質が物語にうまく組み込まれており、「ビジネス書のように学べる」という側面も持っています。

安野さんの著作はビジネスも学べるのが特徴ね。
2. 「トロッコ問題」への鋭い切り込み
自動運転社会で避けて通れない倫理的課題「トロッコ問題」に対し、「アルゴリズムの偏り」という現代的な視点から切り込んでいるのが見事。
物語の舞台が執筆時の数年後(2029年)という「至近未来」に設定されているため、描かれる問題が他人事とは思えないリアリティを持って迫ってきます。

2029年なんてすぐそこです。海外では自動運転のタクシーももう誕生しているというお話もありますね。
3. スピーディな多視点展開
坂本社長、犯人ムカッラフ、車椅子の刑事・安藤、そして動画配信サイトのマネージャー・岸田など、多様なキャラクターの視点が目まぐるしく切り替わります。
この視点移動が「スイッチ」のように機能し、最後まで緊張感が途切れることなく一気に読み進めることができます。

安野さんの作風はメリハリをきっちりつけて間延びしない文体です。どんどん読み進められますよ。
4. SFか、サスペンスか
ハヤカワSFコンテストの選評では「SFとしては小ぶり」との声もありましたが、それは本作が現代社会の延長線上にある問題をあまりに精緻に描いている裏返しでもあります。
SFらしい壮大なスケール感よりも、「明日の世界で起こりうる恐怖と希望」を描いた作品として、幅広い層に響く内容となっています。

壮大なSFを日常に落とし込んでいくとサーキット・スイッチャーのような個別の問題に向き合うってことね!
北陸文庫大賞グランプリの持つ意味と書店員の感想
北陸文庫大賞とは?
北陸文庫大賞は、出版社23社が参加し、30名を超える書店員の厳正な審査によって決定される文学賞。埋もれていた「宝物」のような作品を、北陸の書店から全国へ発信することを目的としています。
『サーキット・スイッチャー』は、デッドヒートの選考を勝ち抜き、第2回グランプリを受賞しました。書店員が「今、最も読んでほしい」と太鼓判を押した作品と言えるでしょう。
ここで書店員の貴重なレヴューをご紹介させていただきます。
・自動運転車の技術が急速に発展した近未来の日本で、自動運転のアルゴリズムを開発するスタートアップ企業の社長が誘拐された。自動運転車内に爆弾を仕掛けたと語る犯人の目的は。合理性によって取りこぼれ落ちてしまった声を拾い上げようとするラストはとても感動的です。つねに昨日よりも今日読んだ時、よりリアルさを持って心に迫ってくる。そんな決して他人事にはならない未来が描かれている作品だと思いました。どうかこの作品がもっと広範のひとの手に届きますように。
・完全自動運転が実用化している近未来の話。AIの課題や倫理問題などがわかりやすく物語に織り込まれていてとてもリアルです。疾走感のある劇場型犯罪で映画を観ているようでした。
・面白かったです。先が気になって、一気に読めてしまいました。技術的な部分で難しいと感じる部分もありましたが、全体的には読みやすかったです。映像化してほしい!と思うような小説でした。
・自動車の自動運転が叶った世界!AIエンジニアでありチームみらい党首の安野たかひろが描いた近未来SF、純粋に面白いと思いました。
・最初から最後まで先が気になって一気読みしました。自動運転のアルゴリズムの開発者の坂本社長が最後に決断する場面がとてもよかったです。たくさんの人によんでほしい小説です。
・とても読みやすく、職場で時間を作り読んでましたが続きが気になって気になって。読み終わった後は気持ちがすっきりしました。
・自動運転実用化。今ではトヨタが実現に向けてひとつの町を実験しています。現実的な社会問題をたぢいざぃにしているのでとても興味深く読めた。
・グイグイ読ませる勢いがある作品。専門用語の説明も知識がなくても分かりやすい。犯人の目的が分かってくると感情移入してしまい、より結末が気になる。
・安野貴博ってあのチームみらいの!?という驚き。テーマも現代に即したものだし受賞したら話題になりそう。北陸に一見ハマるかはわからない雰囲気だが、車社会だし人間味ある話だし化けそうと思った。
・クルマの完全自動運転が普通な未来の描写が実にリアル。専門用語の解説はぶっちゃけチンプンカンプンでしたが、ストーリーの疾走感がそれを補って余りある(期せずし⋯て韻を踏んでしまった)。
・この本を読まずに書店員をしていたことが恥ずかしいくらいの傑作。AIの便利さや恐怖が身近になった今年、絶対に読むべき小説。
・とても読みやすく、職場で時間を作り読んでましたが続きが気になって気になって。読み終わった後は気持ちがすっきりしました。
・近未来の話でありながら身近に感じられ、難しいこともわかりやすく、そこにテンポの良さも加わり、気付けば一気読み。学ぶことが多かった。未来へのメッセージと信念を感じました。
・目隠ししてジェットコースターに乗せられているかのような緊迫感にしびれました。そして、その極限状態を生み出した背景・未来の社会問題も丁寧に描かれていました。これは予言書になるかもしれない・・・
・最先端のストーリーに乗せられて、たどり着いた先は人の哀しみ。読後、読んでいる間には予想さえしなかった静かで空白の時間が広がりました。
・コンピュータに詳しくなくても専門用語がどんどんでてきても読みやすいままで、スピード感も感じられることに終始驚きながら読み進めました。確かにこの作品がベストセラーにならず埋もれているのはもったいないと思いました。
・専門的な技術が物語の核に据えられていながら、難解さより仕組みがわかっていく快感に、理系要素が苦手な私でも楽しく読めました。テンポも非常に良く、知的体験をしたい人オススメです。
・これからの未来、しかもものすごい近い未来に感じさせる書き方が魅力的に見えた。特に、自動運転の車の事故クレームなど、今現在でもどうなるのか話し合わているようなところに、一つの選択肢を感じる一作。
『サーキット・スイッチャー』漫画版
なんと文藝小説だけでなく漫画版も出版されています。漫画版『サーキット・スイッチャー』は上下巻の2巻で完結ですので漫画は世界観を想像しやすいですから、お手に取って楽しんでいただけたらと思います。
まとめ
安野貴博氏の『サーキット・スイッチャー』は、テクノロジーの進化がもたらす光と影を、鮮烈なエンターテインメントへと昇華させた一冊です。
「AIやプログラミングを楽しみながら知りたい」という中高生から、「自動運転社会の倫理的課題に興味がある」大人まで、あらゆる世代におすすめできる傑作です。
北陸の書店員たちが選び抜いたこの「宝物」を、ぜひ皆さんもその手にとって、首都高を駆け抜ける緊迫の288ページを体験してみてください。






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