【考察】朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』あらすじとファンダム経済の深層!読むと「視野が狭まる」衝撃作

朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』あらすじとファンダム経済の深層!読むと「視野が狭まる」衝撃作 よむ
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あなたの「推し活」は信仰ですか?

近年、欧米で聖書の売り上げが伸び、特にZ世代が宗教を通じて繋がりを求める現象が報じられています。

しぃしぃ
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聖書の売り上げが2019~2024年の5年間で87%増加してるらしいのよ!イギリスのZ世代が「推し活」を宗教化してるんじゃないかってデータもあるわ。

「いま、何が起こっているのか?」に、朝井リョウさんの新刊『イン・ザ・メガチャーチ』は一つの考察を与えてくれます。

本書のタイトルにある「メガ・チャーチ」とは、2,000人以上の信徒が集まる大規模な教会のこと。そこで人々が同じものを信じ、時にはすがり、熱狂する姿は、有名アーティストのライブ会場にも似た熱気を帯びています。そして驚くべきことに、その裏側にあるのは、私たちの日常に浸透している「推し活」と共通する「信仰」や「救い」という宗教的な営みと同じ構造なのです。どちらも心の渇きを埋める仕組みですが、その背景には徹底的に設計されたマーケティング戦略が存在します。

びぶーん
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心の渇きを埋める熱狂もマーケティング戦略に載せられていると?

この小説は単なる「推し活」の話に留まらず、「物語」をビジネスにするすべての人、そして「物語」を信じ、熱狂し、時には救いを求めるすべての人間の話であり、私たちの心の奥底にある渇きと、それに付け込む巧妙な設計を描き出しています。読後には、価値観と善悪が揺さぶられる一冊となっています。

しぃしぃ
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ネタバレなしなので気軽にお読みください!

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『イン・ザ・メガチャーチ』書籍紹介データ

  • タイトル: イン・ザ・メガチャーチ
  • 著者: 朝井リョウ
  • 出版社: 日経BP 日本経済新聞出版
  • 形式: 単行本、Kindle版
  • 発売日: 2025年9月5日(金)
  • 定価: 2,200円(税込)
  • ページ数: 448ページ
  • ジャンル: ヒューマンドラマ
  • その他:朝井リョウ作家生活15周年記念作品
    • 刊行前から「今年これ以上の衝撃作はない」と全国の書店員から絶賛の声が続々。
    • 2万部の発売前重版が決定した話題作です。

『イン・ザ・メガチャーチ』特設サイトでは、各界からの感想コメント、書店員さんの声が紹介されています。

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あらすじ:人を操る「物語」の功罪?

『イン・ザ・メガチャーチ』は、「ファンダム経済」を舞台に、今の時代に人を動かすものは何なのかに迫る群像劇です。まず、ファンダム経済を理解しましょう!

ファンダム経済は「ファンの熱量が経済を動かす仕組み」

ファンダム経済とは、熱心なファン(ファンダム)が「推し」を応援することで生まれるお金の流れや経済圏のことです。

たとえばアイドルやアーティストの場合:

  • CD・グッズを買う(売上アップ)
  • ライブやイベントに行く(チケット・遠征費で経済が動く)
  • SNSで情報発信する(宣伝効果で新しいファンが増える)
  • ファンクラブやサブスクに加入する(継続的な収益源になる)

ファンはただの「お客さん」ではなく、お金も時間もかけて推しを広めるサポーター
その結果、アーティストの人気が高まり、音楽業界やグッズ業界、観光業など幅広い分野にお金が回ります。

びぶーん
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物語は、世代や立場、性別も異なる三者の視点から展開されます。

  1. ”物語”を意図的に作る側 あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らすレコード会社の社員・久保田。熱狂的なファンを獲得するため、巧みに「物語」を作り上げていきます。
  2. ”物語”に踊らされる側 内向的で繊細な気質ゆえに心労を抱える大学生・澄香。彼女は偶然知ったアイドルグループ「bloom」にのめり込み、その「物語」に救いを求めます。
  3. かつて”物語”に踊らされていた側 仲間と楽しく舞台俳優を応援していたものの、ある報道で状況が一変する女・絢子。彼女は推し活をやめた後、陰謀論に傾倒していくことになります。

この三者の視点から、人の心を動かす「物語」が持つ強大な力と、その危うさ、そしてその功罪が炙り出されます

象徴的な惹句として、「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」という言葉が印象的です。この作品は、私たちが信じたいという個人的で大切な気持ちが、大衆の中で組織化され、仕掛けられた時にどう変質していくのかを、鋭くも突き放さずに描き切っています。

びぶーん
びぶーん

神様がいない現代でも強大な流れを感じていたいのが人間の性なのかもしれませんね。

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朝井リョウ:戦後最年少の直木賞作家が描く現代社会の深淵

朝井リョウさん(1989年、岐阜県生まれ)は、戦後最年少で直木賞を受賞した超実力派作家です。

2009年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。その後、『何者』で直木賞、『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞、『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝いています。

しぃしぃ
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著書は話題作ばかりだね!

彼の作品は、就活を巡る人間ドラマ『何者』や、読む前の自分には戻れないと評される『正欲』、『生殖記』など、読者の脳天をぶん殴るような衝撃的なテーマを扱いながらも、エッセイではとんでもなくふざけまくっていてマジでおもしろいという、その振り幅が多くの読者を魅了しています。

特に、「読む前には戻れなくなる」とまで言われる朝井作品は、普段言語化できないモヤモヤや、社会の皮肉、ダークな部分をドンピシャで表現しており、時代の空気や流れを読み取り、先行してしまう鋭い嗅覚と調理のうまさにはいつも感心ですよね。非凡人です。

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楽しみどころ:あなたの「視野」を揺さぶる「物語」の深淵

『イン・ザ・メガチャーチ』は、、現代社会の現象を深く考察する読みどころが満載です。

1. 「物語」の構造とマーケティングの真実 誰かを信じ、熱狂させ、その熱をどう維持するのか、どのタイミングでメッセージを投下するか、どう物語を紡ぐか——すべてが「心を動かす設計」、つまりマーケティングであり、その強烈な力と危うさが描かれます。ビジネスに携わる人にも必読の一冊。

2. 三者三様の視点で「物語」を体験 物語を作り出す側、物語を信じる人、物語に救われる人、そして物語に飲み込まれていく人々。それぞれの立場の人が「物語」からどう影響を受け、心境や行動が変化していくのかが描かれており、自分に近い人物や対極の人物を考えてみるのも面白い。

3. 「推し活」から「陰謀論」へ繋がる人間の心理 熱心なファンだった絢子が推し活をやめた後、陰謀論にハマっていく流れは特に衝撃的。「推しのために課金する」心理と「陰謀論を信じて寄付する」心理が、実は同じメカニズムで動いていることが冷静に描かれています。これは、私たちが「物語」を求める存在であることを容赦なく突きつけてくる。

4. 「視野を狭める」ことの新たな解釈 「視野を広げましょう」という言葉はよく聞きますが、本書は「視野を広げること」と「視野を狭めること」の善悪の基準をぐちゃぐちゃにしてきます。あえて視野を狭め、ある物語に没入することで、辛い現実から一時的に解放される人間の本質が描かれており、これは良いか悪いかという話ではなく、世界中で起きている現象なのだと現代の苦しみへの提示をこなしている。

5. 心を揺さぶる「言葉」の力 作中には「我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」「ずっと我に返ったまま生きるにはこの世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎますから」といった、言語化されるとグロさすら感じるほどに心に刺さる文章が多数登場する。言葉が、納得と寂しさとともに胸に針を刺していきます。

6. 精巧な装丁デザイン 本の装丁もまた魅力の一つです。タイトル通りの教会を思わせるステンドグラスの表紙に施された箔押し、金色に輝く扉ページや花布など、細部にわたる美しいデザインは、物語への没入感を高め、所有する喜びを与えてくれる素晴らしい装丁です。

しぃしぃ
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美しい装丁に惹かれ手に取ると、どっぷり沼ること間違いなし!!

7. 著者メッセージと先行する社会洞察 朝井リョウさんは、「イン・ザ・メガチャーチ」を通じてファンダム経済の裏側を鋭く描き、選挙や様々な場面でこの小説が予見していたことが現実に起きていると実際に語っています。社会の深層を捉える彼のアンテナの鋭さと分析力、言語化能力は圧巻です。

朝井リョウさんは、youtube動画の中で「2023年に連載が始まり出版された本書が予見した出来事が現実世界で起きていると感じる瞬間がある」指摘されています。youtube動画

イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチ

「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」――この15年私は小説を書くという教会に通い続けていたんだと思います。あなたは今どこにいますか?――朝井リョウ
この一冊を買うことでメガ・チャーチへと足を踏み入れることになる。どうぞ、教会へ足を踏み入れください。
読み応え 4.3
作家の想い4.5
ユーモラス3.8
リアル度  4.1
総合満足度4.6

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口コミ・感想

  • 「推し活をしている人にはぶっ刺さる、しかし責任はとれない危険な作品」
  • 「人の心を動かす『物語』の功罪が炙り出される」
  • 「読む前の自分には戻れなくなるような感覚」
  • 「マーケティングやIPビジネスを手掛けている人にもぜひお薦めしたい」
  • 「油断すると、普段私たちが言語化できないモヤモヤ、皮肉やダークな部分がドンピシャで表現された文章にぶつかる」
  • 「人間の認知の歪な部分を恐れることなく誠実に描く手つきに感心した」
  • 「忘れていたはずの痛みを復活させる作家だ」
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まとめ:あなたは「物語」を創るか、踊るか?

『イン・ザ・メガチャーチ』は、現代社会における「推し活」や「信仰」、そして「陰謀論」といった現象の根底にある「物語」の力を深く、痛々しいほどリアルに描き出した作品です。誰かを信じ、熱狂する人間の心の渇きと、それを埋めるために周到に設計された「物語」のマーケティング。その構造を知ることは、私たちが情報に溢れる社会で賢く生きるためのヒントを与えてくれます。

本書を読めば、「推し活なんてただの趣味でしょ?」と思っていた人も、「あれ、これって本当にただの趣味なの?」と疑問を持つはずです。そして、「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」という言葉の重みを、深く感じることでしょう。

「物語」の持つ危うさを知りつつも、それでも「物語」を求めてしまう人間の性。この作品は、その深淵を覗き込み、あなた自身の「物語」との向き合い方を問い直す、忘れられない読書体験となるでしょう。ぜひ、朝井リョウさんの“物語”に没入してみてください。

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