近年、「ウェルビーイング」という言葉を耳にする機会が増えましたね。
心身ともに満たされた状態を指すこの概念は、個人の幸せだけでなく、社会全体のあり方にも深く関わっています。そんなウェルビーイングを専門的に学べる、世界初の学部が武蔵野大学に誕生したのをご存知でしょうか?

ウェルビーイングって?
今回は、武蔵野大学ウェルビーイング学部の基本情報から、そこで何を教わるのか、設立の経緯、そして在学生たちのリアルな声まで、徹底的にご紹介します!
武蔵野大学の基本情報

武蔵野大学は、1924年に仏教精神を基盤とした人格教育を目指して設立された武蔵野女子学院を前身とします。2003年に武蔵野大学へ名称変更し、2004年には男女共学化を果たしました。
その後、大学改革を積極的に推進し、わずか20年間で4学部8学科から13学部21学科を擁する、学生数13,000人を超える総合大学へと発展しました。特に近年は、以下のような先進的な学部を次々と開設しています。
武蔵野大学に新たに開設された学部
- 2019年:国内私立大学初のデータサイエンス学部開設
- 2021年:国内初となるアントレプレナーシップ学部開設
- 2023年:国内初のサステナビリティ学科開設
- 2024年:世界初のウェルビーイング学部開設
武蔵野大学は「世界の幸せをカタチにする。」というステートメントを掲げており、全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」ではAI活用やSDGsを必修科目とするなど、創造的な人材育成に力を入れています。ウェルビーイング学部は、東京都西東京市の武蔵野キャンパスに位置しています。
ウェルビーイング学部では何を教わるのか?
武蔵野大学ウェルビーイング学部では、「生きとし生けるものがウェルビーイングに満ちた世界」を創造的にデザインできる人材の育成を目指しています。幸福、生きがい、安心、福祉、健康、平和といった幅広い学術領域を、社会学・心理学的知見、工学的手法、デザイン学的手法を統合した学際的なアプローチで学びます。
カリキュラムは、以下の3つの科目群で構成されています。
- 基盤科目群:ウェルビーイングの基礎となる「ウェルビーイングデザイン」「ウェルビーイングリテラシー」を学び、基礎力を養います。
- 探究する科目群:自己理解、自然・環境、地域・医療・福祉、ビジネス、国際理解について体験的に学修し、知識・スキルを習得します。
- 創造する科目群:ウェルビーイングな人生、製品・サービス、コミュニティ、教育などをデザインするスキルを身につけます。個人、自然、農・食、地域、サービス、国際など、各人が設定したテーマに対して幸せな世界をデザインしていきます。
特に特徴的なのは、「地球ぜんぶ」を舞台とした実践的な学びです。

地球全部って学ぶには広すぎない?!

人間の幸福を地球という環境や社会環境から学術的に学ぼうってことじゃないかな。
- 自然・環境プロジェクト:農業や水産業の現場で約4週間の学外学習を行い、自然とのつながりや集団生活、地域住民との関わりを通じて、ウェルビーイングと自然の関係を深く学びます。北海道苫小牧市の「タイワノイエ」や千葉県いすみ市の「ブラウンズフィールド」などが実習先として挙げられます。
- 地域・ビジネスプロジェクト:地域・福祉・ビジネスの現場で約4週間のインターンシップ体験を通して、社会課題や可能性を実践的に理解します。埼玉県熊谷市の「株式会社 あなたの幸せが私の幸せ」や和歌山県みなべ町の梅農家などが実習先となっています。
- 未来デザインプロジェクト:グループでウェルビーイングな製品・サービス・コミュニティのデザイン方法を学び、新たな提案を行うことで、イノベーション創出の方法を深めます。
- 海外インターンシップ:オーストラリア、フィジー、スウェーデン、フランス、ハワイなどの海外で約2週間のインターンシップ体験を行います。多様な価値観を尊重し、国際的視野を育みます。
SNS:musashino_wb Xの投稿を見ているととても楽しそうな授業が行われていそうなのが伺えます。
ウェルビーイング学部設立の経緯
ウェルビーイング学部は、2023年8月30日に文部科学省から正式に認可され、2024年4月1日に開設。武蔵野大学は、ウェルビーイング学部が「大学の学部名」として世界初であると自社調査の結果を公表しています。
この学部の誕生を牽引したのは、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司教授です。前野教授は慶應義塾大学大学院の教授も兼務しており、本学部の学部長に就任しました。元々はロボット工学者でしたが、ロボットと人間がどのように接するかの研究から、職場の幸せなど人間の幸福へと研究対象をシフトしました。

大学で何を学ぶかは、教授次第よね!

学部長である前野隆司教授の経歴を見てみましょう!
前野隆司教授の経歴
現在の役職
- 武蔵野大学ウェルビーイング学部長、教授
- 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授(兼務)
- 慶應義塾大学名誉教授(2025年就任予定)
- ウェルビーイング学会代表理事
- 日本システムデザイン学会副会長
学歴
- 東京工業大学大学院 修了
- 博士(工学)取得
職歴
- キヤノン株式会社 入社
- カリフォルニア大学バークレー校 客員研究員
- ハーバード大学 客員教授
- 慶應義塾大学理工学部教授などを経て、
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 - 2024年:武蔵野大学が開設した世界初のウェルビーイング学部 学部長・教授に就任
専門分野
- ウェルビーイング
- 幸福学、幸福工学
- イノベーション
- 教育
- 元ロボット工学者:ヒューマンマシンインターフェースや感性工学の研究から、人間の幸福研究へシフト
主な著書
- 『脳はなぜ心を作ったのか』
- 『幸せのメカニズム 実践学入門』
- 『ウェルビーイング・ディストピア化の新福論』
その他の功績・知見
- 日本におけるウェルビーイング・幸福学研究の第一人者
- 「幸せの4つの因子」を提唱
- やってみよう因子(やりがいや主体性)
- ありがとう因子(感謝や人とのつながり)
- なんとかなる因子(楽観性や前向きさ)
- ありのままに因子(自己受容、人と比べない)

慶應義塾大学理工学部教授だけでなくハーバード大学 客員教授のパワーワード!!
前野教授は、『幸せのメカニズム 実践学入門』において、自己受容と幸福の相関関係の高さを指摘し、幸福を高めるための「幸せの4つの因子」を提唱しています。それは、「やってみよう因子(やりがいや主体性)」、「ありがとう因子(感謝や人とのつながり)」、「なんとかなる因子(楽観性や前向きさ)」、「ありのままに因子(自己受容、人と比べない)」です。これらの考え方が、学部の教育にも色濃く反映されています。
学部設立の背景には、少子高齢化が進む日本社会において、新しいことに挑戦し続けなければ大学が淘汰されてしまうという武蔵野大学の危機感があります。ウェルビーイング学部は、未来を見据えた大学改革の一環として位置づけられています。

新しい学部開設は、武蔵野大学の新しい挑戦なんですね!
武蔵野大学ウェルビーイング学部の口コミ(在学生の声)
武蔵野大学ウェルビーイング学部は2024年に開設されたばかりのため、一般的な口コミサイトにはまだ情報がありません。しかし、YouTubeのオンラインゼミで語られた在学生である1期生たちのリアルな声からは、この学部の魅力と、学生たちの充実した大学生活が伝わってきます。
【学生が語る学部の魅力】
- 人とのつながり、温かい雰囲気:学生たちは学部を「とても楽しい場所」、「温かい空気の居場所」と表現し、「みんな良い人ばかり」だと口を揃えます。人見知りだった学生が、様々な年齢層の社会人との交流を通じて、臆することなく話しかけられるようになったという変化も語られています。
- 対話を重視した授業:授業の多くは対話型で、互いの意見を深く共有する機会が多くあります。特に「ウェルビーイングカード」を使ったグループワークでは、普段話さないような深い自己開示や価値観の共有が行われ、学生同士の仲が深まるのが早かったそうです。このカードは、毎日異なる問いに対してグループで話し合う「義務」として活用され、自己理解を深める重要なツールとなっています。
- 先生と学生の距離の近さ:先生方は学生と非常に近い距離で接し、あだ名で呼ばれることもあるほどです。学生の意見や不安(例:課題の多さ)にも真摯に耳を傾け、カリキュラムや学習方法の改善に繋げるなど、先生と学生が一緒に学部を作り上げている感覚があると言います。
- 多様な学びと成長:学生たちは、授業内外での活動を通して「行動力のある子が多い」と刺激を受けたり、「コミュニケーションスキルが向上した」と感じたり、時には「新しい自分を提案してくれる場所」として、自己を発見する機会を得ています。
- ウェルビーイングの多様な捉え方:学生たちは、「世界中の人々が幸せだと思える世界を実現したい」という大きな目標から、「今日の美味しいパスタ」や「冷蔵庫にあったアイス」といった日常のささやかな幸せまで、それぞれのウェルビーイングを多様な視点から探求しています。
- 不安と期待:1期生ということもあり、就職先への不安がないわけではないと正直に語る学生もいますが、それ以上に「4年間を楽しく生きる、好きなことを勉強する」ということを重視してこの学部を選んだと言います。未来の後輩たちとの出会いを心待ちにしている声も多数上がっています。
【学部のデータ(1期生)】
- 男女比:女子6割、男子4割と女子学生が多いです。
- 留学生の割合:約67名の留学生がおり、そのほとんどがアジア出身です。海外滞在経験のある学生も多く、多文化な環境で学ぶことができます。
- 年齢層:年齢もバラバラで、多様な背景を持つ学生が集まっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入学定員数 | 80名(2024年度) |
| 2年次編入学定員数 | 10名(2025年度より受入開始) |
| 取得できる学位 | 学士(ウェルビーイング) |
主な就職先
一期生卒業が2028年3月となりますので、まだ主な就職先はありません。世界でも初の学部だということで前例がないのです。

確かにウェルビーイングを学んだからと言ってどこに就職できるのかって分からないわよね。
まずは、ウェルビーイング学・幸福学を土台にキャリアを築いている海外の方に目を向けてみましょう。
| 名前 | 国/所属 | 活動内容 |
|---|---|---|
| Lindsay G. Oades | オーストラリア(University of Melbourne など) | ウェルビーイング政策戦略家・研究者。学校や教育におけるポジティブ心理学、精神保健回復モデル、ウェルビーイングに関する研究を多数発表。 |
| Jan-Emmanuel De Neve | イギリス/オックスフォード大学 | 幸福と経済の関係を研究し、World Happiness Report などに関与。職場のウェルビーイング調査を主導するなど、研究成果を政策・企業等で活用されている。 |
| Séverine Deneulin | イギリス/University of Bath | ウェルビーイングと開発の倫理、ケイパビリティ・アプローチの研究者。開発政策や国際的な持続可能性の文脈で幸福をどう測るか、どう促進するかを提唱。 |
| Medical/Public health 分野の卒業生 | ニュージーランドなど | 公衆衛生(public health)で、疫学、健康推進、データ解析、地域・健康政策の実務などで活躍。例:Massey大学の公衆衛生卒は保健官・分析官などに。 |

どちらかというと心の健康というような分野で研究している人が多い印象ですね。日本ではどのような職に就きそうでしょうか?
日本にもウェルビーイング関連の需要が増えてきているので、学士号取得者が活躍できる場として考えられるものは以下の通り。
- 地方自治体の健康増進課や福祉部門(住民の健康づくりやメンタルヘルス支援など)
- 保健所、保健センターなどの職員
- 企業の健康経営推進部門、人事部での福利厚生・従業員の幸福度調査・改善職
- NPO・NGO:地域コミュニティ支援、子ども高齢者支援、メンタルヘルス支援団体など
- 学校(中学校・高校・大学):健康教育、キャリア教育の中でウェルビーイングを含むプログラムの立案・実施
- ウェルネス系企業:フィットネス、マインドフルネス、メンタルヘルスアプリ、リトリート施設など
- メディア・出版:ウェルビーイング関連の書籍・記事・コンテンツ制作、情報発信者として

なるほど、幅広い分野でウェルビーイングを生かせる可能性がこれから需要が増えているってことね!

シラバスを見てみるとWebデザインやWebリテラシー、地域・医療・福祉基礎、自然環境基礎、自己理解入門などバランスよく人間の幸せに応じた学問を学ぶことが出来る印象です。活躍できる場も幅広く見ることが出来るでしょう。
武蔵野大学 ウェルビーイング学部シラバス
まとめ
武蔵野大学ウェルビーイング学部は、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司学部長のもと、世界初の学部として2024年に誕生しました。この学部では、社会学、心理学、工学、デザイン学といった学際的なアプローチでウェルビーイングを深く探求し、国内外での実践的なプロジェクトを通じて、「世界の幸せをカタチにする」ウェルビーイングデザイナーを育成しています。
在学生たちの声からは、先生と学生が一体となって学びを創造する対話重視の環境、互いに刺激し合い、支え合う温かいコミュニティ、そして自己の成長とウェルビーイングの探求ができる唯一無二の場所であることが伝わってきます。
「自分だけの幸せを創造したい」「社会をより良くデザインしたい」「多様な価値観の中で自分を成長させたい」と考えている方にとって、武蔵野大学ウェルビーイング学部は、これからの未来を切り拓くための理想的な学びの場となるでしょう。

楽しそう!
未来のウェルビーイングを共に創造する仲間として、あなたも武蔵野大学ウェルビーイング学部の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。




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