おはようございます。
一冊読んだので感想を書きたいと思います。
今回ご紹介する本はこちら

凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」です。映画化もされていて2026年10月9日(金)公開だということで一足先に小説で読みました。

2023年本屋大賞受賞作です。
「汝、星のごとく」あらすじ
瀬戸内の小さな島で出会った暁海と櫂。
機能不全の家庭という檻の中で、ふたりは互いだけを拠り所にして愛を育む。
しかし、櫂の「夢」と暁海の「責任」が、やがてふたりを島の外へと引き離していきます。
残されるもの、旅立つもの——選択のたびに何かを失いながら、それでも人は自分の燦然と輝くあの明星を目指して進もうとする。
愛の美しさと残酷さを静かに問いかける物語です。
感想
読んでよかった。単純に面白かったです。さすが「本屋大賞受賞作」プロローグとエピローグが見事に交差して完成品を観させていただいている印象でした。
暁海と櫂の視点で交互に物語が語られる
男女の考えていることが交互に入れ替わってエピソードが構成されています。高校生の恋愛、好きな人が何を考えているのか気になったことはありませんか?
「汝、星のごとく」では17歳、20歳、25歳、30歳、32歳とその時に暁海と櫂の視点から物語が語られているので、相手の脳内が丸見えです。

私は結婚していますが、こんな風に夫婦の思ったことが丸見えならどんなにいいことかと思いました。
男女の視点が交互に描かれることでなんであの時あんな態度取ったんだろう?とかその理由が見えてきます。あの時の暁美はこんな思いで発言したんだとか櫂はこんな思いでこんな行動を取ってたんだとか読みながら発見できる手法です。
10代から30代までの青春から社会人に
10代の身体が元気を持て余している感じ。持て余したエネルギーをどこにぶつければいいのかという描写が海岸での暁美と櫂の恋だったと思うし、恋が発展するときのウキウキ感と「何があってもずっと一緒にいる」と信じて疑わないパワーを感じますが、社会人になっていくと櫂は「夢」を暁美は島独特の「責任」を感じて行動しだします。
社会人になると10代の頃の考えや行動では思い通りに行かない分厚いコンクリートのような社会の壁と相撲を取っていずれ疲れてくるような疲労感を感じてきました。
恋の発展の充実した生活とこれからもずっと一緒にいるんだという情熱を保ちながらも、金銭、時間、世間体からの「疲労」が見て取れる描写です。
櫂も暁美も親に恵まれた方じゃなかったから、愛情をどこに置けばいいのか迷子だったから、お互いにようやく出会った愛情を置ける場所を手放すなんて考えられなかったのだと思います。
あんなに愛した人なのに一緒にいるのが苦しい。思い当たる節ありませんか?恋愛、結婚生活を経ると気持ちの変化が起きてくることがありますが、相手は何を考えているんだろう?と「汝、星のごとく」を読むと思いもよらないことを考えていたのだと気付かされることがあります。

自分の想像の範囲外でもしかしたら相手は自分のことを思ってくれているのかもね。
現代の結婚観は恋愛じゃない、互助会である
「汝、星のごとく」を読んでいると結婚は恋愛じゃない。お互いに人生を助け合う「互助会」的な役割を持つのもいいかなと考えさせられました。
「好き」×「好き」+「時間」=「憎悪?」に変わることもあるのが恋愛結婚ですが、生い立ち、仕事、夢、憧れ、尊厳、世間体すべてから身を守るのは恋愛結婚は現代では難しいのかもしれない。
結婚はロマンティックラブではなく、ロジックラブであると現在は推奨する方もいらっしゃるほど、胸の高鳴りや「愛おしさ」を通り越して「生き抜く」ことに軸足を置いた結婚が今後求められるのかもと考えさせられました。
だけど、「汝、星のごとく」では恋愛の熱の高さは「ロジックラブ」である互助会的結婚を上回ると示した例だと思います。
恋愛の熱の高さは互助会を上回る
考えてみれば当たり前のことかもしれません。恋愛リアリティー番組でもなんでこんな人を選ぶんだろう?という人を選んだりしていませんか?
絶対こっちの人を選んだ方が結婚したら幸せになれるのにと誰もが思うような平凡で地面に足の着いた人よりも、なぜか本能が惹かれるけど、幸せになる未来が見えない人の方を選ぶ瞬間を度々目の当たりにしてきました。
金銭、仕事、時間、世間体平凡を選んでおけば安寧の幸せを得ることが出来るのに「熱」に逆らえない。
「汝、星のごとく」では「恋愛」は「互助会」的な結婚を上回る熱で描かれていると思いました。ただ、最後の櫂と暁美は「恋愛」というにはあまりにもお互いを重ねすぎたんだろうと思います。お互いを思った時間が長すぎた。
愛情を置く場所を見つけた安堵感も掛け算して、自分自身になりすぎていたのだろうと思ってみていました。
「汝、星のごとく」は、現実を直視しながらも「恋愛」「青春」「若さ」への賛美でした。
心に残った言葉
この本を読んで心に残った言葉を残したいと思います。
ちゃんと税金を納めてきているのよ。櫂くんもわたしもみんなも、毎日しんどい思いして、下手したら病みそうになりながら働いて、そうして得た給料の多くを国に納めているのよ。なにがみっともないのよ。病気のときは堂々と面倒見てもらえばいいじゃない
もしかしたら、「汝、星のごとく」の物語自体を表しているかもしれないセリフ。
毎日しんどい思いして、下手したらやみそうになりながら働いて、いったい何を僕らはしようとしているんだろう?そうして、倒れそうになったとき、国に助けてもらうことの何がみっともないのか?
「恋愛」どころじゃないくらい「税金」を納めて、なにが「子作り」だってそう思っちゃいました。
大人なんて、そんな偉いもんやないよ
いつの間にか「大人」って常識を持っていて、ひとに迷惑を掛けず、自立していて、尊敬できる仕事をしていて、経済力もあって、あらゆる人に尊大な態度を取れて、できた人間だと思っていました。
だけど、「大人」なんて、そんな偉いもんやないよという言葉はその通りだなと思うと同時に肩に乗ったあらゆる偏見の大きな石を取り除いてくれました。
大人なんて、そんな偉いもんにならなくてもいいよってこの一冊が言ってくれているみたい。
以上、「汝、星のごとく」を読んだ感想でした。
まとめ
「汝、星のごとく」は、愛することの美しさと残酷さを正面から描いた作品。「世界の中心で愛を叫ぶ」の冒頭の恋愛が何も心配なく盛り上がっていく感じが好きな人には刺さるでしょう。
なにより、凪良ゆうの世界を創る文藝が素晴らしい。自分も汝星のごとくの世界に生きているんだと、都会に生きている人、
町の人はみんな顔見知りな田舎に住んでいる人まですべての人に楽しんでいただける小説です。
暁海と櫂の視点が交互に語られる構成により、すれ違いの理由や相手の本音が浮かび上がり、読み進めるほど「そうだったのか!」と発見がある一冊です。10代の純粋な熱から、社会の重さに押しつぶされそうになる30代まで、誰もが「あの頃の自分」を重ねられます。
2023年本屋大賞受賞、映画化(2026年10月公開)も控える今、ぜひ手に取ってみてください。

読んだ後に、映画の予告映像を見ると鳥肌が止まらなかったです。また「汝、星のごとく」の世界に引き込まれていく!楽しみですね!





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