図書館司書になるためには、さまざまな専門科目を学ぶ必要があります。
その中でも「図書館制度・経営論」は、図書館の運営に関する基本的な知識を学ぶ科目です。
本記事では、図書館制度・経営論を学ぶうえで理解しておきたい重要なポイントを、見出しごとにわかりやすく解説します。
※ここで紹介している児童サービス論はあくまでも科目の中の一部になります。
図書館制度・経営論とは?
図書館を運営する知識の土台
「図書館制度・経営論」は、図書館がどのような法律や制度に基づいて設置・運営されているのか、どのように評価・改善していくのかを学ぶ科目です。
現場で働く際に不可欠な視点である「評価」や「計画」、そして「効率的な経営」の基本を身につけることができます。
図書館評価とは?
図書館評価を効果的に反映させるためには、図書館活動の標準として「図書館の目的」を設定することが必要です。
図書館の未来へのビジョンや使命を具体化し、どのような指標を用いて評価を行うべきかを明確とすることで、評価の結果は新たな計画のための有益な情報となります。
サービスを改善するための継続的な活動
図書館評価とは、図書館が提供するサービスや運営体制の現状を把握し、その成果や課題を分析・検討することで、よりよい図書館づくりを目指す活動です。
単に数字を集めるだけではなく、図書館の「使命」と「利用者のニーズ」に照らして、サービスの質を客観的に見つめ直し、改善点を明らかにすることが目的です。
たとえば、「貸出冊数が多い=良い図書館」とは一概に言えません。

貸出が多い図書館はいい図書館じゃないの?

貸出もいい指標だけど、それだけが評価の対象じゃないってことだね。
利用者の満足度やアクセスのしやすさ、イベントの参加率や職員の対応など、多角的な視点から評価することで、図書館の本当の強みや課題が見えてきます。
また、評価は一度きりのものではなく、定期的に行い、改善につなげていくことが重要です。
このように評価は、図書館が社会の変化に柔軟に対応し、地域や利用者にとって「必要とされ続ける場所」であるために欠かせない営みなのです。
さらに、評価結果を基に具体的な改善策を立て、実行し、また次の評価へとつなげるPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことによって、図書館はより確実に成長し続けることができます。
評価を運営に活かすには?
図書館の目的と指標の明確化
評価を効果的に運営に反映させるには、まず図書館の目的や使命を明確にする必要があります。
そのうえで、何をもって「良い図書館」と判断するのか、適切な評価指標を設定します。
これにより、評価結果を新たな運営計画へと活かすことが可能となります。
評価の実施者にも注目
評価にはさまざまな主体があります。
- 自己評価:図書館職員自身が行う評価
- 外部評価:図書館が外部の評価者に依頼するもの
- 第三者評価:図書館外の第三者が評価者を選ぶ評価
- 設置機関による評価:自治体や大学などが行う評価
自己評価だけでは主観的になりがちなので、外部の視点を取り入れた多面的な評価が重要です。

自己評価だけだと都合のいい評価ばかり並んじゃうかもね。

確かに…。指標もちゃんとしたものがあります!図書館評価に用いられる指標としてJIS X0812があります。
図書館評価に用いられる指標
JIS X0812:図書館パフォーマンス指標
国際標準ISO11620を技術的内容及び構成を変更することなく作成した「JIS X0812:2012」は、図書館の活動を数値で評価するためのガイドラインです。
【JIS X 0812:2012の概要】
■ 目的
図書館が提供するサービスの質を客観的に評価・改善するための共通指標を提供する。
■ 評価方法の特徴:
- 定量的指標(数値で測れる)
→ 利用者数、貸出冊数、開館時間、資料の到達率など。 - 定性的指標(質的な評価)
→ 利用者満足度調査、職員の対応、館内環境の快適さなど。 - 利用者視点を重視
→ 図書館の内部評価だけでなく、「利用者がどう感じているか」を重視。 - PDCAサイクルに基づく評価
→ Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の流れに沿って運用。 - 国際規格ISO11620との整合性
→ 国際標準に準拠し、日本の図書館向けに調整された形。
【具体的な評価指標の例】
例えば次のような指標があります。
| カテゴリ | 指標例 |
|---|---|
| 利用者サービス | 貸出件数、来館者数、問い合わせ対応数 |
| アクセス性 | 開館時間の長さ、交通アクセスの良さ |
| 資料提供 | 資料の新着頻度、予約資料の受取所要日数 |
| 満足度 | 利用者アンケート結果、要望対応率 |
| 職員体制 | 専門職員の割合、研修実施数 |
これらのデータは、図書館の規模や状況に応じて適切なものを選び、他の図書館と比較することで、自館のサービス改善に役立てられます。
電子的サービスにも対応
近年の図書館評価では、電子的サービスにも注目が集まっています。次のような指標も導入されています。
- 人口あたり利用者用ワークステーション数
- 電子的コレクションにかかる経費の割合
- ダウンロード1件あたりのコスト
デジタル時代の評価に対応できるよう、これらの指標も視野に入れておくことが求められます。
費用・便益分析とは?
経済的な視点で評価する方法
費用・便益分析とは、図書館のサービスや計画にかかる費用と、それによって得られる便益(利用者満足や学習効果など)を比較して、効果的な運営方法を探る手法です。
代表的な方法には次のものがあります。
- 代替法:貸出1冊の価値=本の購入価格
- トラベルコスト法:図書館までの交通費をサービスの価値とする
- 仮想評価法:利用者に直接、支払いたい金額を質問する
図書館の経営判断に、客観的で多角的な視点を提供する方法です。
図書館職員に求められること
図書館評価の理論や手法を理解するだけでなく、実際に活用できるように習熟することが大切です。
評価が適切に行われれば、図書館サービスの質は確実に向上し、利用者にとっても魅力的な図書館となるでしょう。
まとめ:評価を知ることは、未来の図書館をつくること
「図書館制度・経営論」は、図書館の成り立ちや仕組みを知るだけではなく、実際にサービスの質を上げていくための方法論まで学べる科目です。
評価とは単なるチェックではなく、「よりよい図書館をつくるための道しるべ」。
司書を目指すなら、ぜひ前向きに学んでほしい分野です。
ブログ村に参加しています!
更新の励みになるので、もしよかったら、ポチッと押していって下さい。



コメント