『ユダヤ人の歴史』(中公新書)を簡単に要約|なぜユダヤ人は世界で活躍するのか?

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「世界の人口のわずか0.2%しかいないユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の20%以上、フォーブス長者番付のトップ層を占めている」

びぶーん
びぶーん

この事実を聞いて、あなたはどう感じますか?

ユダヤ人が頭がいいからとか、特別なネットワークがあるからとかそう簡単に片づけられない3000年以上の歴史があるからというのが鶴見太郎さんの『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』には事細かに描かれています。

この記事では、鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』にを読んでユダヤ人がなぜ強いのかを要約しました。ぜひ最後までご覧ください。

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ユダヤ人の歴史として思い浮かぶ2つのエピソード

ユダヤ人の歴史と聞いて思いつくのは大体この2つではないでしょうか?

「モーゼの十戒」と「ユダヤ人収容所」のエピソードです。

「モーゼの十戒」ではそこからユダヤ教の教えが広まったことで1900年代には映画にもなりましたよね。また、ドイツのアウシュビッツ収容所の「ユダヤ人虐殺」では、様々な著書フランクリンの「夜と霧」を筆頭にその残虐性、どのような精神だったのかを詳しく描かれていますし、2000年のアカデミー賞外国語部門ではイタリア映画の「ライフイズビューティフル」が受賞したように現代に色濃くその歴史を伝えています。

しかし、この2つのエピソードだけでは、古代と近代のエピソードでしかなく、「モーゼの十戒」は、今から3200〜3300年前(紀元前13世紀頃)で「ユダヤ人収容所」に関して言えば主に1933年~1945年です。その3000年くらいの歴史はそんなに語られることなく、現代まで来ています。

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「民族離散(ディアスポラ)」成功よりも貧困と差別の歴史

引用:https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/126419.html

鶴見太郎さんの『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』では、現代の「世界の人口のわずか0.2%しかいないユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の20%以上、フォーブス長者番付のトップ層を占めている」ユダヤ人の「特別なネットワーク」あるいは、「頭がいい」というイメージは単なるイメージにしか過ぎないという形で描かれています。

古代ユダヤ王国が外国に滅ぼされ「民族離散(ディアスポラ)」が起こります。

民族が様々な国に分かれていきました。ドイツ・スペイン・オランダ・ロシア・ポーランド・イタリア<イベリア半島>と散り散りになったのです。

ここで多くの人はユダヤ人が各地で成功して金融・仲介・商業に成功したから、各地で特別なネットワークが出来たんだ、と思われる方もいらっしゃると思いますが、成功したユダヤ人もいますが、多くは「ユダヤ人は普通の職人や小商人、貧民だった」ということを『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』では重心的に語られています。成功したのは事実だが、多くは、貧困と差別に苦しんでいたことを頭の中に置いておかなければなりません。

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ロシア帝国でのユダヤ人

ロシア帝国でのユダヤ人は、実は「マイノリティ」ではなく、多数派だった事実があります。

その証拠に、1900年頃の時点でユダヤ人口はドイツでは1%程度、都市のベルリンでも19世紀後半から20世紀初頭は4~5%といったところでした。

しかしロシア帝国で見てみると、ロシア帝国全体のなかでの人口比こそ4.1%ですが、定住区域内の都市部では、ユダヤ人が過半数であるか過半数に迫り、少なくとも「最大派閥」である場合が多かったのです。例えば、都市部に限定すれば、ベラルーシのミンスク県ではユダヤ人は全人口の59%、ウクライナのポドリア県では46%、リトアニアのヴィルナ県では43%、ユダヤ人の居住が厳しく制限されていたキーウを含むキーウ県でも31%を占め、定住地区の全都市部平均でも37%でした。

しぃしぃ
しぃしぃ

つまりは、「民族離散(ディアスポラ)」で散り散りになっていってもロシア西南地域に関しては「最大派閥」という支配的な人口を占めていたのね。

頭が良くて金融で成功したユダヤ人のイメージ通りなら、このロシア西南のウクライナ地域では世界有数の金持ち大国になっていると思われるのですが、19世紀~20世紀のロシア帝国においてユダヤ人は貧困層が多かったのです。

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襲撃ポグロムから北米大移民へ

支配的な「最大派閥」であったユダヤ人コミュニティですが、経済的貧困とユダヤ人を標的とした襲撃(ポグロム)からアメリカという希望を見出します。

19世紀後半のロシア帝国で、ユダヤ人を標的とした暴動や襲撃(ポグロム)が何度も起こるようになったり、ユダヤ人が労働でも苦境を迎えたことによって経済的にも貧困化し、その後19世紀終わりから1920年代までかけて北米へのユダヤ人大移民の契機となりました。

アメリカへのユダヤ移民のピークだった1881年~1910年にかけてなんと156万人のユダヤ人がアメリカに渡りました。その中の7割を占める112万人がロシア帝国からであり、2割がオーストリア・ハンガリーからです。

びぶーん
びぶーん

どんどんアメリカに行け~って感じだったんだろうね。

ユダヤ人襲撃(ポグロム)に苦しむ移民たちにとってアメリカでも工場での過酷な条件での労働が求められましたが、ロシア帝国~東欧において貧困にあえいでいた時と比べるとアメリカの消費社会は眩しく明るい希望に満ちていたとその目に映ったと書いてあります。

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移住した男性はボクシングでお金を稼ぐ

ちょっと驚きだったのが、男性のアメリカ移住の極端な例でいうと以外にもボクシングがあげられます。

なんと1928年までアメリカのボクシング界では、イタリア、アイルランドを差し置いてユダヤ人が最も多いエスニック集団になったんだって。

なんでユダヤ人がボクシングに?と思う方もいるかもしれないけれど、簡単で「お金になるから」だったそうです。

結局1940年代になるとユダヤ人のボクサーは減りだしていくんですが、移住して「お金を得る」ための方法としてユダヤ人はアメリカでボクシングをしたということはあまり知られていないことでしょう。

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女性と教育

アメリカへ移った移民の中でもまばゆいばかりの自由を感じたのはユダヤ人の中でも女性でした。

ジェンダーによって縛られていた女性にとっては教育にも自由が与えられた証拠に、1925年のフィラデルフィア夜間学校では生徒の7割が女性だったというから驚きです。また、1934年ニューヨークのカレッジに通う女子学生の半数がユダヤ人でした。

卒業後結婚するまでは衣服産業で働いていたと言います。

しぃしぃ
しぃしぃ

ここから教育の重要性と移民が移住した場所で自分たちの居場所を見つける「根性」を見ることになるわ。

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ニューヨーク市立大学の学生の8〜9割がユダヤ人だった

さらにさらに驚きだったのが、1920年代に学費が無料だったニューヨーク市立大学の学生の8割~9割がユダヤ人だったことです。

びぶーん
びぶーん

お金がなくても学べる場所を探して学習していく…ユダヤ人素晴らしすぎる……。

また更に移民の子どもが大学に入る年になった頃、東海岸の大学のユダヤ人学生数がさらに急増したという教育への徹底ぶりです。

名門大学によるユダヤ人の入学制限

白人たちの社交クラブの側面を持っていた大学からするとユダヤ人が増えすぎることに難色を示したことで、ハーバード、コロンビアといった名門大学が、ユダヤ人の入学制限を行うようになりました。

「ユダヤ人は入れてはいけない!」ではなく秘密裏に行われた差別といわれていますね。その後ユダヤ人だからと言って入学ができないということのないように、ということでユダヤ人の出資で設立されたブランダイス大学が設立されます。

学びへのハングリー精神が半端じゃないです。

これは移民してきたことによる自分の居場所の確保に一人一人が必死に闘って得ることができると肌で感じていたのでしょう。

アメリカの自由を感じ、希望を見出しながら、自らの努力を怠らないユダヤ人たちには頭が下がります。

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まとめ

「世界の人口のわずか0.2%しかいないユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の20%以上、フォーブス長者番付のトップ層を占めている」理由の歴史が、鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』には詳しく書かれています。

それは「頭がいいから」でも「特別なネットワークがあるから」でもなく、3000年以上にわたる離散・貧困・差別・迫害という歴史の中で培われた、学びへのハングリー精神と自由への渇望が生み出したものといえるでしょう。

鶴見太郎さんの『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』は、その壮大な歴史を高校の「世界史B」の難易度で丁寧に紐解いてくれる一冊です。

この記事を書いた人

bibroom

図書館司書資格保有|心理学専攻卒|元宝石店員|3児の父

働きながら通信大学で心理学を学び、 図書館司書の資格を取得。現在は3人の子育て中。 学び・教育分野の発信者。年間200冊以上の本を子どもたちと読み続けながら、 「本当に子どもの心に刺さる一冊」を探し続けています。 本のおすすめから司書を目指す人への情報、 エンタメ・エッセイまで人の心を動かすものすべてをテーマに執筆しています。

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