「あの『オーラの発表会』と『パッキパキ北京』の綿矢りさがまたやってきた!」
綿矢りさはたまにボキャブラリー全開で書く小説があります。「そんな角度からよく突っ込めるな?!」視点の爆笑小説を書き上げるのです。綿矢りさ爆笑小説が2026/1/27小学館より発売の「グレタ・ニンプ」です。
物語を要約すると
将来有望スタートアップ企業に勤める主人公「俊貴」は控えめで笑顔が可愛い「由依」と結婚する。辛い不妊治療を4年続けた末、子どもが授からず、「時間」と「お金」だけ消耗する日々に、もう夫婦2人で生きていこう!と決めた矢先、俊貴が仕事から帰宅すると、あのやさしいロハスで自然派な雑誌「リンネ」でも見てそうな妻「由依」が珍妙な格好で踊っていた。
「ヨウセイダーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」。
妊娠した喜びで(!?)由依は内面、外見ともに豹変。「あなた、私図書館で本借りてくるね…」控えめだった内面は「オメェ!!妊娠したぞ!!ご近所さんに言って回らねえと!!」と口調まで変わって激しいヤンキーになり、髪型は往年のバスケットボールの名選手デニス・ロッドマンのようになってしまった。
不妊治療から妊娠した喜びで「由衣」は変わってしまったのか?妊娠すると生活はどうなる?男の仕事は?女の権利は?キャリアは?妊娠することが成功で妊娠しないことが失敗なのか?国のために子どもを産むことって必要なのか?!ドタバタしながら、激し目な「由衣」が政治を経済を、妊活を、育休を、男性の育児休暇取得率を切っていく!!
妊娠して出産、子育てを味わったすべての50代~20代へ捧ぐ、爽快爆笑小説となっております。
「あああ、もう声出さねえと、やってられねえ!痛い!めちゃくちゃ痛い!腹ん中で赤ん坊が暴れ回ってやがる!!!!!」果たして我が妻「由衣」は無痛分娩にせず出産することが出来るのか!!?気軽に読んでみて下さい!共感と爆笑すること必死です!!
綿矢りさのグレタ・ニンプはこんな小説。
もともと、綿矢りさは女性の社会に対する行き詰まりを笑いに変えながら指摘していく小説を書かせたら右に出る者はいない作家です。
「オーラの発表会」では、趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけることで他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手な主人公の大学生活を秀逸なボケでうまく表現して読者を爆笑の渦に巻き込んでいたし、「パッキパキ北京」では、愛犬ペイペイと一緒に経済成長を果たしているギラギラした北京のすべてを食い尽くすアヤメが人生エンジョイする突き破るほどの人間性が小説のカオスとして読者の混乱と感心を招いてきた。
「激しく煌めく短い命」は綿矢りさのライフワークである女性同士の恋愛の40歳までを書き切った作品なので「ひらいて」や「生のみ生のままで」の延長上に語られる女性同士の恋愛を真面目に語る小説だった。でもこの「グレタ・ニンプ」はあのすべての社会現象を笑いに変える綿矢りさが返ってきたと思ってすぐに手に取って読みました。

手に取った段階から笑う覚悟はできていました。
読み始めから、もうおかしかった。主人公の「俊貴」が家に帰ってくると妻が「ヨウセイダーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」。と言って自身の妊娠を報告するところから始まっていきます。ここから妊婦生活が始まるのですが、妊婦生活はみなさん共感の連続です。

ちょっとだけ本編からセリフを引用します。
「少子化?国のために子どもなんか産めるか……、こんな痛くて、命がけなんだぞ」
子どもが生まれなくて2026年の日本は少子化対策を講じています。これでもかと政治家の皆さまは安心して子どもを産んでくださいと声高にアナウンスされていますが、激し目のデニスロッドマンとなった「由衣」はばっさり切り捨てます。「少子化?国のために子どもなんか産めるか……、こんな痛くて、命がけなんだぞ」そのとおり!国のために産むんじゃない!自分のためひいては生まれて来る子どものために命がけで産むんです!!
国のために子どもを産む?見る目線がずれていることを綿矢りさはうまいこと書いてくれています!
グレタ・ニンプの夫「俊貴」は現代男性の無力さを代弁している。出産シーンでは、出産の痛みに命を懸ける妻「由衣」に対して「俊貴」はいみじくも出産に命がけの妻に対して罪悪感を持っています。
きみは出産で生死を賭けているのに、僕は受精のときに精子をかけただけでごめんね。やめろ俊貴、この場面でおやじギャグは致命傷だ。いくら恐ろしくて緊張しているからって、あまりにも冴えない下ネタを口走ってはいけない。
「1980年代までの女は黙って子どもを産んでろ~!」という酷い時代からは考えられない「俊貴」の男としての低姿勢。2020年代では女性に子どもを産んでいただいているという申し訳なさまで感じる一説。
ただ、出産のときでも「命を懸ける」と「精子をかける」のおやじギャグを考えるだけ「マジで男は楽よな」と主人公を使って語り掛けている綿矢りさの軽妙さ。
少子化って一体だれの責任よ?少なくとも今の私らの責任じゃないだろ、ボケエェ!
もはや、働く世代すべての気持ちを代弁してくれているかのように真実を気持ちよく語ってくれる「由衣」の一言は読んでいる人の気持ちをスカッとさせてくれる効能もあり、すべての若者に読んで笑ってほしい小説となっています。

デニスロッドマンで今の20代に通じるかどうかはさておき、30代~40代のすべての子育てに関わる人に捧ぐ小説ね!
ちなみに表紙イラストを書いた人は
ちなみに「由衣」のイメージは表紙のイラストです。
『グレタ・ニンプ』の表紙イラストは、イラストレーターのNAKAKI PANTZ(ナカキパンツ)が手掛けています。デニス・ロッドマンのような髪型に変貌した主人公・由依が描かれた、パンクでインパクトのある鮮烈なビジュアルが特徴です。
表紙の特徴
- イラスト: NAKAKI PANTZ氏による描き下ろし。
- デザイン: 妊娠期間中の「!」の連続を表現した、鮮烈でパンクなデザイン。
- 作品コンセプト: 「グレた妻と混乱夫のコメディ」を体現した、一目で引き込まれるファンキーなイラスト。
- カバー下: 表紙のカバーを外しても、ピンク色が輝く美術作品のような仕上がり。
この表紙は、書店でも「実物を目にするとインパクト大」と評されています。本作のハイパワーな内容を体現しています。
グレタ・ニンプはこんな人におすすめ
- 綿矢りさが好きな人
- 小説で爆笑したい人
- 妊活をしている、したことがある人
- 新婚夫婦生活中の人
- 出産を経験した人
- 出産に立ち会ったことがある人
- 育休・産休を取ったことがある人
- 男性の育児休業を申請・取得した人
「妊活~妊娠~産休~出産~育休~子育て」を体験したことがある人なら、笑いながら共感できる内容でおすすめの一冊です。
まとめ
グレタ・ニンプは、「グレた妻と混乱夫のコメディ」です。「妊活~妊娠~産休~出産~育休~子育て」を体験した人に捧ぐ一冊。
今、育児をするひと、妊活をしている人、妊娠中の人の言葉にできなかった何かわからないけどプレシャーをかけてくる「あの重圧」を物語にして「由衣」がスカッと一言で吹き飛ばしてくれます。
ぜひ、お手に取って読んでみて、笑って「そうだそうだ~~!」と明るい気持ちになってください。
最後までお読みくださりありがとうございました。



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