さて、一冊読み終わったので感想を綴りたいと思います。
カフネを読んでいる途中から感じたことは、「誰もが嫁と妻の「役割」を欲している」という感想です。
日本人は、男も女も働きすぎて自分を大切にする時間をすり減らして生きている。だからこそ、人に対して「あなたのことを大切にしているよ」という行動を感じることができる家事サービス「カフネ」を欲しているのだと思います。
この記事では、カフネのあらすじ、カフネを読んだ感想、たまに見るカフネを読んでも「つまらない」という感想まで批評していこうと思います。

『カフネ』のあらすじ
『カフネ』は、最愛の弟・春彦を突然亡くした主人公・野宮薫子が、弟の元恋人である小野寺せつなと出会い、人とのつながりを取り戻していく物語です。
薫子は、夫との離婚を経験したばかり。さらに、長年の不妊治療を続けていたこともあり、心身ともに疲れ果てていました。そんな中、最愛の弟・春彦が突然この世を去ります。
大切な家族を失った薫子は、生きる気力さえ失いかけていました。そんな薫子の前に現れたのが、春彦が生前付き合っていた女性・せつなです。
せつなは、家事代行サービス「カフネ」で働いており、料理が得意な女性。薫子は、せつなが作る料理を食べることをきっかけに、少しずつ心を取り戻していきます。
やがて薫子は、せつなと一緒に家事代行サービス「カフネ」の仕事を手伝うようになります。
二人が訪れる家庭には、それぞれ異なる事情を抱えた人たちがいます。
家事ができない人、家族との関係に悩んでいる人、病気や孤独を抱えている人など、さまざまな依頼人と関わる中で、薫子は「誰かのために料理を作ること」「誰かと一緒に食事をすること」の意味を少しずつ考えるようになります。
せつなの料理が人間を再生させていく
家事代行サービス「カフネ」の仕事は、せつなが料理、薫子が掃除と役割分担がされています。
まず、掃除をすることでスペースが広がり、清潔な空間で寛ぐことができる。そして、手間暇をかけた料理を食べることで「私は大切にされている」という愛情で利用者の気持ちが安らぎます。
せつなの料理の描写は、無駄な情感を省いたシンプルな紹介をされているのですが、家事代行サービス2時間の間にこんなに品数を作れて、おいしそうと思わせるような「驚き」を与える文体で書かれています。
作中に出てくるせつなが手を加えた料理は、主人公 薫子のみならず、すべてのすり減った人間の尊厳を取り戻させてくれます。

せつなの料理は、栄養や味だけではなく、「愛情」が入っていたのです。
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「カフネ」 読書感想文
いつから、「家事」が安く見られるようになったのでしょう?
お金が権力を持ちだしたから?
「仕事」の方が価値があると思って社会は働くことを推奨して男女雇用機会均等法が施工されたのは1989年だったdしょうか?
「カフネ」で語られる物語は、「家事」がどれだけ人間の尊厳に関わっていたかということです。
小説カフネでは家事代行サービスの「料理」と「掃除」について焦点を当てられているのでこの二つについて述べます。
「掃除をする」って最近できていますか?
「掃除」やらなきゃ、やった方がいい。だって綺麗に過ごせれば「気持ちいい」。それは分かってる。だけど、仕事をして帰ってきて、夜に掃除機をかける気になりますか?窓ガラスを拭く気になれますか?床の髪の毛は部屋の隅に集まってはいるけれど、休みの日にやろうと思っても、せっかくの休みの日だから「やらなきゃいけないこと」じゃない自分がしたいことに時間を使いたいですよね。
そうして、部屋は、家は、アパートは、マンションは段々ゴミが貯まっていきます。ほこりが溜まっていきます。
その中で暮らせないこともないし、まとめてすればいいんだから大丈夫。

大丈夫なんだけど、もし清潔にされている空間なら「気持ちよく」よりリラックスして過ごせますよね。
「掃除」という家事一般から遠ざかっている働く現代人は、知らず知らずの間にリラックスしているようでやらなきゃと言う想いに後ろ髪惹かれながら、本当の意味で寛げていない。
「主婦」「嫁」「妻」といった昭和の役割が、どれほど人間が気持ちよく過ごせる役割として大事だったのかが小説「カフネ」を読むと分かります。
男が女がという話ではないです。人は、ある程度清潔な空間で暮らすには人からの「手を加えられた環境」に身を置くことが大事なんだと思い知らされました。ゆっくり過ごすということにも「愛情」を受けている時間だということになります。
我々には「掃除をする時間も余裕もない」。

気が付いたら、面倒くさいかもしれないけれど、掃除をしようって思います。そうすれば家族は大切にされているって愛情を受けられる。消耗しすぎているときはできませんけどね。
料理は「愛情」を食べている
小説「カフネ」を読むと料理はただ食べるのではなく「愛情」を食べることによって心が満足するのだと感じました。
私自身、最近、外食のお店で食べる機会も多いのですが、出される料理はおいしくとも、チェーン店になるとお金を集金するシステムが出来すぎていて、料理をサービスするのではなく、如何に効率的に売り上げを創るか?という頭でお店が成り立っているのかがよく分かります。外食が悪いという訳ではないのですが、「大切にされている」と感じることは少なくなりました。
家で食べる「料理」の方がおいしく、満足度が高いのは、「妻」や「母」が手間暇をかけて、面倒くさいと感じながらも食べたらおいしいように工夫して作ってくれているからなのだと小説「カフネ」を読むと感じます。自分が「大切にされている」と感じる食事はおいしく、満足度も高い。当たり前のことのようですが、食事というのはただ食べるにとどまらず、「大切にされている」と感じる行為になることで、これから生きる気力がわいてくるのだと思いました。

「嫁」や「妻」「母」といった昭和の家事をする役割が以下に人間を大切にしていたかが分かるわね。

その裏で「嫁」「妻」「母」という役割に人が犠牲になっていた事実も忘れないようにしないとね。
書店員さんが選ぶ本の本屋大賞1位を取ったのは、働く人にとって「大切にされている」という実感を得たい。「カフネ」を読むと「大切にされている」感じがある。そうそう、こういう風にされたかった!という共感が多かったからだと思います。
以上が、カフネを読んだ読書感想です。以下は「カフネ」を読んでもつまらないという感想をまとめてみました。
『カフネ』がつまらないと言われる5つの理由
『カフネ』は2025年の本屋大賞を受賞した話題作ですが、すべての読者から高く評価されているわけではありません。
実際に読者の感想を見てみると、「面白かった」「感動した」という声がある一方で、「期待したほどではなかった」「主人公に共感できない」「テーマを詰め込みすぎている」「終盤の展開が強引に感じる」といった否定的な意見も見られます。
では、なぜ本屋大賞1位の『カフネ』が「つまらない」と言われてしまうのでしょうか。大まかにはこの5つでしょう。
本屋大賞1位の期待値が高すぎかもしれません。自分の好みに合わない作品でも評価が高い作品も数多くあります。
主人公薫子は、努力で人生を切り開いてきた堅苦しい真面目人間です。まじめさだけが取り柄で国家公務員になりました。そんな真面目さに共感できないという方も多いかと思います。
不妊・家族・LGBTなどテーマを詰め込みすぎと感じるのは、最近の小説の傾向でもあります。ひとつのテーマをもっと深堀してほしい方にはちょっと物足りないかもしれません。
「ほのぼの」としたお話かと思えば、自殺なのか?他殺なのか?という事件性もあります。「ほのぼの」だけを求めるなら「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」がおすすめです。
終盤のまとめ方がその作家の見せどころですよね。ちょっと急な展開もありますが、良いまとめ方をされていると思います。ただ、「ほのぼの」から真実が急展開で明らかになるところは、「ええっ?!」とびっくりされるのも無理はありません。

詰め込みすぎや急な展開っていうのは最近の文芸ではそっちの方がヒットするからだと思うわ。「汝、星のごとく」や「流浪の月」も展開の速さが刺激的で面白かったもんね。

もっと、刺激的な小説を希望されている人には少々物足りないと感じる人もいるかもしれない。心温まる小説としては絶品の一冊が「カフネ」だね。心温まる小説といえば2026年翻訳部門で本屋大賞を受賞した「ヒュナム洞書店」も絶品だね!
同じく本屋大賞を取ったおすすめ小説はこちら
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『汝、星のごとく』読んでよかった!都会でも田舎でも刺さる、凪良ゆうが描く「美しき現実と恋愛の賛美」
まとめ
『カフネ』を読んで感じたのは、人は誰かから「大切にされている」と実感することで、もう一度生きる力を取り戻せるのではないかということです。
せつなが作る料理や、薫子が行う掃除は、一見すると何気ない家事ですが、その家事の一つひとつには「あなたのことを大切にしています」という気持ちが込められています。
日本人は「家事」を手放してしまった。これからどうするんだろう?そう思ったときに小説「カフネ」が必要なんだと思います。
一方で、『カフネ』は本屋大賞1位という期待から、もっと刺激的な物語を想像していた人にとっては、料理や掃除というテーマや終盤の展開に「つまらない」「共感できない」と感じる可能性もあります。
だからこそ、『カフネ』は評価が分かれるのでしょう。
私自身は、家事や料理を単なる「やらなければならないこと」ではなく、人の尊厳や愛情を支える行為として描いているところに、この小説の魅力があると感じました。
「誰かに大切にされたい」「自分も誰かを大切にしたい」。
そんな当たり前だけれど忘れがちな気持ちを、料理と家事を通して思い出させてくれる作品です。
『カフネ』が面白いか、つまらないか。その答えは、読者がこの物語に何を期待しているかによって変わるのではないでしょうか。

誰かを「大切」にする「愛する」にはまず家事からはじめましょう。



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