柚木麻子小説『バター』海外で100万部超え大ヒット驚きの理由とは?

よむ
記事内に広告が含まれています。

日本人作家として、全世界で異例の100万部越え大ヒットを記録した柚木麻子さん。イギリスのベスト50冊のうち、なんと23冊が日本文学で占められたこともあるほど日本文学が世界で受けている。その中心にいる一冊が、柚木麻子さんの『バター』です。

柚木麻子著『BUTTER』は全世界で累計100万部を突破しており、特にイギリスでは日本国内の35万部を上回る45万部という驚異的な売れ行きを見せています。

しぃしぃ
しぃしぃ

日本よりイギリスの方が売れてるってびっくり!!海外で100万部越えの背景はこちらです。

海外で100万部超えの大ヒット背景

  • モデルになった事件が単純に面白い
  • ルッキズムに反した魅力
  • 女性視点の男性中心社会への抵抗を描く「フェミニズム文学」だった
  • 島国日本のジェンダー文化の愚かさがジョークとして描かれている
  • 日本語を翻訳する担い手が育ってきた
  • バターを食べると太る「食」に対しての問題提起

なぜ今、柚木麻子さんの作品がこれほどまでに求められているのでしょうか。

その理由を紐解いていきましょう。

スポンサーリンク

『バター』あらすじ:欲望とルッキズムが絡み合う、濃密な人間ドラマ

物語のモデルとなっているのは、日本中を震撼させた実在の結婚詐欺連続殺人事件です。

びぶーん
びぶーん

実際の事件は日本中を驚愕させた「首都圏連続不審死事件」になります。

あらすじ
主人公の週刊誌記者・里佳は、世間を騒がせている容疑者・梶井真奈美に面会を試みます。

梶井は、決して世間一般で言う「絶世の美女」ではありませんが、料理を通じて男たちの心を掴み、多額の金を貢がせていました。

面会の中で梶井が里佳に放った「私、バターをたっぷり使った料理が好きなんです」という言葉。この言葉をきっかけに、里佳は梶井の指示通りに高級バターを贅沢に使った料理を食べ始め、次第に彼女が持つ独特の価値観や、女性を縛り付ける社会の「呪い」に深く足を踏み入れていくことになります。

食欲、性欲、そして「女性はどうあるべきか」という社会的な抑圧を、芳醇なバターの香りと共に描き出した、重厚な社会派小説です。

しぃしぃ
しぃしぃ

連続殺人事件から、罪悪感のあるバターを使った料理を用いることによって女性にかけられた「呪い」を問いかけている作品なのね!

スポンサーリンク

なぜ『バター』は海外でこれほど評価されているのか?

日本で書かれたこの物語が、なぜ文化の異なる海外でこれほどまで熱狂的に受け入れられているのでしょうか。そこには3つの大きな要因があります。

1. 日本社会を鋭く風刺した「ブラックユーモア」としての受容

日本ではシリアスな社会派ドラマとして捉えられがちですが、イギリスの読者は本作を「日本社会に対する非常に優れたブラックユーモア」として楽しんでいます。

特に、日本の会社組織における女性の扱いや、体型・外見に対する露骨な批判が公然と行われている描写に、海外の読者は驚き、同時にそれをシニカルに描く手法を高く評価しています。

びぶーん
びぶーん

当然のごとく女性を軽視する日本の文化に対して、世界中から好奇の目で見られているっていうことですね。まだまだ男女役割分業制度も地方には根強く、世界のジェンダー文化から見ると滑稽に映る日本の姿が小説「BUTTER」を魅力的に見せているようです。

性別役割分担意識の解消は、女性のためだけではなく、過度なプレッシャーと孤立に苦しむ男性を解放するためにも不可欠である」という客観的データは内閣府男女共同参画局よりPDFで閲覧できます。

2. 世界共通の課題「フェミニズム」と「シスターフッド」

今、世界的な出版傾向として、女性作家による女性同士の連帯(シスターフッド)や、男性中心社会への抵抗を描く「フェミニズム文学」への需要が非常に高まっています。

『バター』が描く、抑圧からの解放や女性同士の複雑な関係性は、イギリスやアメリカの読者にとっても「自分たちの問題」として共感できるテーマなのです。

実際に、イギリスでもミソジニー(女性嫌悪)や有害な男性性が社会問題化しており、本作はその文脈でも読まれています。

しぃしぃ
しぃしぃ

つまり、イギリス、アメリカ文化の潮流にも小説「BUTTER」はばっちりあっているってことなんだね。

びぶーん
びぶーん

日本風に言うと「多様性」のジェンダー文化への「熱」をうまく捕まえているってことだね!

3. 「運び手」である翻訳家の存在と市場の変化

2010年代以降、日本文学を英語に訳す優れた翻訳家が数多く育成されました。

『バター』の翻訳を手がけたポリー・バートンさんのように、作家の世界観を的確に、かつ現地の読者に響く言葉で届ける「運び手」の力が、ヒットの大きな要因となっています。

また、これまでの「文豪」を崇めるスタイルではなく、翻訳家自身が「この作品が好きだ!」と推す作品を世に出していく、現代的なムーブメントがブームを後押ししています。

びぶーん
びぶーん

多言語に翻訳する翻訳者が育ってきているっていうのも背景にあるんだね。言語のグローバル化が進んできたとも取れます。

スポンサーリンク

小説『BUTTER』と実在事件のリンク

小説の主人公である梶井真奈子(カジマナ)は、まさに実際の事件の被告を投影されたキャラクターです。

  • バターの象徴:
    小説では、カジマナが「マーガリンを許さない」「バターこそが至高」と語る場面がありますが、これは実在の被告が「本物(高級なもの)」に執着し、男性たちを魅了した魔力や毒性を象徴しています。
  • 女性記者の視点:
    小説は、彼女を取材する女性記者の視点で進みますが、これは「なぜ彼女のような女性に、これほど多くの男性(そして世間)が翻弄されるのか?」という、当時の日本社会全体が抱いた困惑と好奇心を代弁しています。
びぶーん
びぶーん

マーガリンを許さない!バターこそ至高という本物志向は誰にでも当てはまりそうですが、行き過ぎると他者への影響が心配されます。ほどほどが良いですが、小説では魔性の原動力として力の源になっていますね。

しぃしぃ
しぃしぃ

もう一つ読み物として面白いのは実際の事件もそうだったんだけど、容姿が良くない女性が次々に男性を手玉に取っていったという「謎」がこの物語に興味を惹かせる魅力になっているわ。世界共通の魅力ね!

スポンサーリンク

小説バターのモデルとなった事件「3つの異質さ」

小説「BUTTER」のモデルとなった「首都圏連続不審死事件」が他の殺人事件と一線を画し、多くのクリエイター(柚木麻子さんなど)を惹きつけたのは、犯人のあまりに独特なキャラクターでした。

① 「容姿」へのステレオタイプを破壊した

メディアが最初に騒然としたのは、彼女の容姿。

当時、「結婚詐欺師=絶世の美女」という世間の思い込みがありましたが、彼女はふくよかな体型であり、いわゆる「典型的な美女」ではなかったのです。

しかし、彼女は「丁寧な暮らし」「高い教養」「美しい字」「見事な手料理」を武器に、孤独な独身男性たちの心を完璧に掴んでいたのです。

びぶーん
びぶーん

どちらかといえば美しくない彼女が「丁寧な暮らし」「高い教養」「美しい字」「見事な手料理」を駆使し、男を手玉に取るその技術に日本国民の多くの関心がありましたよね!

② セレブ生活を彩る「食」への執着

彼女は奪った金(総額1億円以上と言われる)を、高級車ベンツの購入や、一流レストランでの食事、高級料理学校の学費に注ぎ込んでいました。

彼女のブログ「かなえキッチン」には、高級食材や手作りパンなどの写真が並び、自分を「選ばれた価値のある女性」として演出。この「食」への異常なこだわりが、小説『BUTTER』の重要なモチーフ(エシレバターをたっぷり使った料理など)となっています。

③ 徹底した「自己肯定感」と獄中結婚

逮捕後も彼女は一切反省の色を見せず、「自分は男性を喜ばせる才能がある」という趣旨の発言を繰り返しました。

さらに驚くべきことに、死刑確定までの間に拘置所で3度の結婚(獄中結婚)をしています。

その相手には、大手出版社の編集者なども含まれていました。

しぃしぃ
しぃしぃ

獄中にいても男性から好かれるこのモテ技術は気になるわ~~。

スポンサーリンク

作者・柚木麻子さんは海外での評価をどう思っている?

柚木さん自身、イギリスでの熱狂的な反響を当初は「意外だった」と語っています。

特に、日本と海外での感想の差に驚きを感じているようです。

「女が怖い」と言われない喜び:
日本では柚木さんの作風に対し「女の人は怖い」という感想を持たれることが多かったそうです。
しかし、海外では「女が嫌だ」「女が怖い」というネガティブな反応がほとんどなく、一人の人間としての戦いや社会批評として受け止められたことに、柚木さんは「新たな市場を発見した」と手応えを感じています。

しぃしぃ
しぃしぃ

日本で女性が自立しようとすると男性から「女は怖い」といわれることあるよね。でも海外だと女性が権利を持っているのは当然だから、自立した女性に嫌悪感を抱かないってことだね!

日本社会の「内面化された毒」への自覚:
柚木さんは、日本で暮らす中で無意識に受け入れてしまっていた不平等を、海外読者の驚きの声を通じて再認識したと言っています。

自分にとってはリアルに書いたつもりの日常が、海外からは異常な光景として「批評的」に読まれるという現象を面白く感じているみたいですね。

びぶーん
びぶーん

日本は何といっても島国。海外文化との差は歴然としている。だからこそ日本の文化がもはやブラックジョークのように面白く感じてしまうのでしょう。

スポンサーリンク

まとめ

柚木麻子さんの『バター』が海外で評価されているのは、単なる「異国情緒」への好奇心からではないみたいですね。

海外で100万部超えの大ヒット背景

  • モデルになった事件が単純に面白い
  • ルッキズムに反した魅力
  • 女性視点の男性中心社会への抵抗を描く「フェミニズム文学」だった
  • 島国日本のジェンダー文化の愚かさがジョークとして描かれている
  • 日本語を翻訳する担い手が育ってきた
  • バターを食べると太る「食」に対しての問題提起

島国、日本特有の閉塞感や社会問題を、「食」と「欲望」という普遍的なテーマを通じて描き出したことが、世界中の女性(そして現代を生きるすべての人)が抱える痛みと共鳴した結果だといえます。

「違う文化背景を持つ者同士が、小説「BUTTER」という物語を通じて分かりあえる」稀有な小説となっていることが海外にて100万部を突破した原動力と言えそうです。

海外で『バター』を手に取る読者たちは、遠い日本の物語の中に、「もう一人の自分」を見出しているのかもしれません。

もし、あなたがまだ『バター』を読んでいないなら、ぜひページをめくってみてください。文庫版が出ているので文庫がおすすめです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました