『BUTTER』版権が新潮社から河出書房新社へ移転!その背景にある差別コラム問題をわかりやすく解説

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柚木麻子さんの代表作『BUTTER』が、長年お世話になった新潮社から河出書房新社へ版権を移すことになりました。国内65万部・海外100万部超えのベストセラーがなぜ出版社を変えるのか?その背景にあったのは、見過ごせない差別問題です。

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『BUTTER』ってどんな小説?

『BUTTER』は2017年に新潮社から刊行された柚木麻子さんの長編小説です。婚活連続殺人事件の容疑者に魅了されていく女性記者の心理と変貌を描いた作品で、食と欲望、女性の友情をテーマにしたサスペンス。国内外で高い評価を受け、日本で65万部(電子書籍含む)、英国を中心に海外でも約100万部という大ヒット作です。

そんな人気作が、2025年4月22日、突然の版権移転を発表しました。

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何があったのか?

版権移転の背景を理解するには、2024年夏に起きた「週刊新潮コラム問題」から話を始める必要があります。

2024年7月31日号の「週刊新潮」に、衝撃的なコラムが掲載されました。

元産経新聞記者・高山正之氏が執筆する連載「変見自在」の「創氏改名2.0」と題した回で、朝鮮半島や中国にルーツを持つ俳優・大学教授・作家ら複数の実名を挙げ、「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と記したのです。

名指しされたうちの一人が、作家の深沢潮さん

深沢さんは在日韓国人1世の父、2世の母を持ち、30歳で日本国籍を取得。作家デビュー当初から自身のルーツを公表していました。まさに、そのデビューを支えた出版社・新潮社の雑誌に、差別的な内容を掲載されたことになります。

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深沢潮さんに何が起きた?

コラム掲載後、深沢さんはすぐに抗議しました。新潮社も謝罪声明を発表し、連載は2024年8月に打ち切られました。しかし問題はそれだけでは終わりませんでした。

深沢さん側は新潮社に対し、

①コラムが「差別的かつ人権侵害にあたる」という認識を持っているかどうかの明確な回答
②誌上での反論スペースの提供(最低8ページ)を要求しました。

ところが新潮社の回答は「ご指摘・ご批判については真摯に受け止めており、掲載した責任を痛感しております」という定型文的なものに終始。深沢さんはこれを「差別や人権侵害に向き合わない対応」と強く批判しました。

深沢さん自身はこう語っています。「刃物で傷つけた時に刃物を持ったまま『痛いの?ごめんなさい』と言っているだけで、刃物は離さない——あの謝罪文はそういうものだった」。

さらに追い打ちをかけたのは、問題のコラムを含む連載が、その後ワック社から書籍として刊行されたことです。深沢さんはこれを受け、2025年1月に高山氏とワック社を相手取り、660万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。

びぶーん
びぶーん

問題のコラムは「高市早苗が習近平と朝日を黙らせる」というタイトルです。

2025年11月にワック社から刊行。なお、週刊新潮版では「ならばせめて日本名を使うな」と書かれていた表現が、書籍版では「ならば日本名を使わせるな」と一部変更されていたことも報告されている。

深沢さんは一連の問題で長期間の抑うつ状態に陥り、現在もメンタルクリニックに通い続けているといいます。

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柚木麻子さんが下した決断

こうした状況を受け、同じく作家仲間として深沢さんの苦境を目にしてきた柚木麻子さんが、2025年4月22日、インスタグラムで版権移転を発表しました。

Instagramによる柚木麻子さんの声明はこちら→→https://www.instagram.com/yuzukiasako/p/DXad3xfk62g/

「今回の判断の背景には、昨年、作家仲間である深沢潮さんに著しい苦痛を与える記事が、彼女のデビュー元である新潮社発行の雑誌に掲載されたことがあります。その後の状況や、彼女にかかった負担、そして孤立について見聞きし、出版というシステムの在り方を深く考え直す契機の一つとなりました。作家として、自分にできる具体的なアクションは何か。検討を重ねた結果、新潮社様における複数の版権のうち、一作を他社へ移動するという選択に至りました。これは現時点での、私なりの最大限の意思表示です」

— 柚木麻子(インスタグラム、2025年4月22日)

また柚木さんは、「『BUTTER』のオーサーズツアーで各国の出版関係者と対話するなかでも、差別や排除に対しどう立ち向かうべきか、自身の立場を厳しく問われる機会がありました」と、国内外の仲間や関係者に相談しながら下した決断であることを明かしています。

なお、今回の移転について「同様の行動を他の書き手に強制する意図は一切なく、それぞれが置かれた状況下での判断が尊重されるべきだと考えております」とも述べており、あくまで自分自身の選択であることを強調しています。

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今後『BUTTER』はどこで読める?

版権移転は両社の協議のうえで「円満な合意」に基づくものです。2025年6月中旬に河出文庫から新装版が刊行予定で、海外の出版権についても河出書房新社が引き継ぐとのこと。読者が引き続き『BUTTER』を楽しめるよう、環境は整えられます。

びぶーん
びぶーん

これって『BUTTER』が版権移動することで出版社に影響を与えうる力のある小説だってことだよね。

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まとめ

今回の出来事を整理すると、次のような流れです。

  1. 2024年7月:週刊新潮に差別コラム「創氏改名2.0」掲載
  2. 深沢潮さんが抗議→新潮社が謝罪・連載打ち切りも、差別の本質的な認識は示さず
  3. 深沢さんが新潮社との全出版契約を解消、長期の抑うつ状態に
  4. 問題コラムが書籍化→深沢さんが提訴(2025年1月)
  5. 柚木麻子さんが連帯の意思表示として『BUTTER』の版権を移転(2025年4月22日)

一冊の小説が出版社を移ること自体、異例中の異例です。それだけ深沢さんが置かれた状況が深刻で、柚木さんの覚悟がいかに大きかったかが伝わってきます。

これだけ影響力の大きな『BATTER』という小説がどのような小説家は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

この記事を書いた人

bibroom

図書館司書資格保有|心理学専攻卒|元宝石店員|3児の父

働きながら通信大学で心理学を学び、 図書館司書の資格を取得。現在は3人の子育て中。 学び・教育分野の発信者。年間200冊以上の本を子どもたちと読み続けながら、 「本当に子どもの心に刺さる一冊」を探し続けています。 本のおすすめから司書を目指す人への情報、 エンタメ・エッセイまで人の心を動かすものすべてをテーマに執筆しています。

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