仲良く笑い合って夫婦生活を送りたい。
だけど、口を開けばケンカばかり、もう疲れて家に帰る元気もない。「男なのに情けない」と自虐的になっているのは、あなただけじゃないかもしれません。
世間的には、男性から女性への虐待は取り上げられることが増えました。だけど「女性から男性への虐待」を正面から扱うメディアや書籍は、いまだにごくわずかです。
虐待だと気づかずに、ただ日々をやり過ごして無気力になって辛い思いをしている男性は非常に多い印象です。もしかしたら、妻が怖いのは虐待を受けているからかもしれない――そんな気持ちを抱えたとき、ぜひこの記事の本を手に取ってみてください。
「妻が怖い」は虐待のサインかもしれない
「妻に怒鳴られると体が固まる」
「謝り続けているのに状況が変わらない」
「家が安らげる場所じゃなくなった」
「最近、元気が出ない…」
こうした感覚が続いているなら、それはもしかするとDVや精神的虐待のサインである可能性があります。
男性が被害を打ち明けにくい背景には、「男が女性から虐待されるはずがない」という社会的な思い込みがあります。恥ずかしさや「自分が弱いだけだ」「男なのに情けない」という自分を否定する思いが、自分の置かれている状況を把握できなくさせているかもしれません。
以下で紹介する本は、そうした状況をデータや当事者の声で丁寧に描いた資料です。
女性から男性への虐待を扱った本・資料
1.『妻が怖くて仕方ない』富岡悠希著(ポプラ社・2022年)
「女性から虐待を受けている男性」を正面から扱った、現時点でもっとも読みやすい一冊。DVや借金、教育方針の押しつけ、「シカト(無視)」など、妻から夫へのさまざまな支配・暴力の形を章ごとに取り上げています。
特に注目したいのが以下の章
- 第6章「増える妻から夫への『暴力沼』」――加害者更生プログラムの主催者への取材
- 第7章「『あんたの存在を認めない』という『シカト沼』」
「暴力」だけがDVではない。存在を無視される、言葉で傷つけられる。そうした行為も虐待であることを、具体的なエピソードで伝えてくれます。
2.『シン・男がつらいよ』奥田祥子著(朝日新聞出版・2023年)
現代の男性が直面するさまざまな苦しさを丁寧に拾い上げたルポルタージュです。<p42〜53>にかけて、女性から虐待・DVを受ける男性の実態が描かれています。
「男は強くなければならない」というプレッシャーのせいで、被害に声を上げられない男性の姿が浮かび上がってきます。
「自分だけがおかしいのか」と感じている方に、ぜひ読んでほしい一冊です。
3.『男性は何をどう悩むのか』濱田智崇編(ミネルヴァ書房・2018年)
男性向けの相談ホットライン「『男』悩みのホットライン」に寄せられた声をもとに編まれた本です。<p201〜206>には、女性パートナーから暴力や支配を受けている男性の相談事例が取り上げられています。
「こんなことで相談していいのか」と思っている方にとって、同じ悩みを抱えた男性がいることを知るだけで、少し楽になれる一冊です。
4.『男性問題から見る現代日本社会』池谷壽夫・市川季夫編(はるか書房・2016年)
学術的な視点から、日本社会における男性の困難を多角的に論じた一冊です。<p23〜25>では、女性から虐待・DVを受ける男性の問題が社会構造の観点から論じられています。
男性が生きづらい。「なぜこの問題が見えにくいのか」を理解したい方に向いています。
5.『ジェンダーで読み解く男性の働き方・暮らし方』多賀太著(時事通信出版局・2022年)
ジェンダー研究の第一人者による、男性の生き方を広く論じた一冊です。<p239〜241>に、女性から虐待を受けている男性についての記述があります。
虐待の問題を「個人の不運」ではなく「社会的な構造の問題」として捉え直すための視点を与えてくれます。
6.『女性から虐待されている男性へ――女性はなぜ傷つけ、男性はなぜ留まってしまうのか』アン・シルバース著、上田勢子訳
一冊まるごと男性被害者に向けて書いた、日本語で読める貴重な一冊です。
「なぜ彼女はこんなことをするのか」「なぜ自分は離れられないのか」その問いを体系的に理解することができます。加害者である女性の心理パターン、そして被害を受けながらも関係にとどまり続けてしまう男性の心理が、丁寧に解説されています。
「虐待されているのに、それでも妻や彼女を愛している」という複雑な感情を抱えている方にこそ、読んでほしい一冊です。
まとめ
「妻が怖い」という感覚は、弱さでも情けなさでもありません。それはあなたが傷ついているサインかもしれません。
女性から男性への虐待は、社会的にまだ十分に認知されていないテーマです。だからこそ、一人で抱え込んでしまいやすい。でも、こうして本や論文でテーマとして取り上げられ始めているということは、同じ状況で苦しんでいる男性が確かに存在します。
今日紹介した本はどれも、図書館で借りられるものがほとんどです。「買うほどのことでもないか」と思ったら、まず図書館で手に取ってみてください。本を開くことが、自分の状況に名前をつける、最初の一歩になるかもしれません。




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