「真実は、時代を超えても必ず光を放つ渾身の550p」
2025年年末「無理をしない」「頭を下げない」「威張らない」ことを社是として、創刊50年を誇る「本の雑誌」より、2025年年間ベスト10が発表されました。ベスト10 第1位は『百年の時効』伏尾美紀/幻冬舎でした。昭和・平成・令和と時代を貫く刑事の執念を描いた壮大なミステリー小説です。

本を手にした時は少し長いかなって思っちゃうくらいの550p!しかし、これくらいでなければ描かれない壮大な物語でした。
本作は、単なる謎解きを超え、三つの時代を股にかけた人間の業と正義を描き出す、まさに「超ド級の警察サスペンス」です。読む者の胸に深く、長く残る重厚な物語、その魅力を詳しくご紹介します。
百年の時効
刑事たちの昭和は終わらない。
真犯人が見つかる、その日まで。
1974年に起きた一家惨殺事件。
未解決のまま50年――。
アパートで見つかった、一体の死体によって事件の針は再び動き出す。
嵐の夜、夫婦とその娘が殺された。現場には四人の実行犯がいたとされるが、捕まったのは、たった一人。策略、テロ、宗教問題……警察は犯人グループを追い詰めながらも、罠や時代的な要因に阻まれて、決定的な証拠を掴み切れずにいた。50年後、この事件の容疑者の一人が、変死体で発見される。
現場に臨場した藤森菜摘は、半世紀にも及ぶ捜査資料を託されることに。上層部から許された捜査期間は一年。真相解明に足りない最後の一ピースとは何か? 刑事たちの矜持を賭けた、最終捜査の行方は――。
感動、スリル、どんでん返し……。エンタメの妙味が全て詰まった、超ド級の警察サスペンス
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昭和の惨劇:未解決のまま50年が経過した一家惨殺事件
物語のすべての始まりは、1974年(昭和49年)の嵐の夜に発生した、東京・月島での一家惨殺事件です。
夫婦とその娘が殺されるという凄惨な事件で、現場には四人の実行犯がいたとされていますが、そのうち捕まったのはたった一人でした。一家の主人は日本刀で首を切られ、妻は滅多刺し、幼い長女も刃物で首を切られた状態という、残忍な手口はただの強盗とは思えません。

残酷で醜悪な事件……。犯人の情念の深さが浮かび上がるほどの残忍な仕打ちに捜査の熱も上がっていく。
当時の捜査では、策略、テロ、宗教問題など複雑な要因や、時代的な背景に阻まれ、警察は決定的な証拠を掴み切れずにいました。この昭和の時代、科学捜査は指紋の照合が中心で、DNA鑑定などが未発達だったため、地道な聞き込みが捜査の頼りでした。

指紋照合は手作業。令状一つ取るだけでも警察内部の膨大な人事や政治的判断が絡むが刑事はあきらめない。
未解決事件となった一家惨殺事件を追ったのは、複数の世代にわたる刑事たちでした。
若き湯浅と豪快な鎌田のバディ
事件発生直後、現場に真っ先に駆けつけたのが月島署の刑事・湯浅と、捜査一課の鎌田でした。
バリバリ現役の鎌田は豪快で典型的な昭和の刑事であり、若々しい湯浅とは当初反りが合わずぶつかり合います。
しかし、被害者の無念を晴らしたいという「事件を解決したい」という一点のもと、二人は次第にお互いを認め合い、熱いバディとなっていきます。

相棒とともに捜査を進め様々な事件の背景を集めていく刑事たち。
彼らは、事件の背後に潜む満州での出来事や、テロ、宗教問題といった巨大な歴史的背景にまで迫っていきますが、決め手を欠いたまま時間だけが過ぎていきます。
平成・令和編:託された想いと最後のチャンス
時代は平成へと移り、捜査のバトンは湯浅、鎌田から次の世代へと引き継がれます。
鎌田は、自らが引退した後も事件を引き継げるよう、部下である草加を後任に任命。 捜査は、大喪の礼や地下鉄サリン事件など、激動の時代がもたらす社会情勢や警察内部の事情によって縮小され、度々困難に直面します。
そして、一家惨殺事件が未解決のまま50年が経過した令和の世に、事件は再び動き出します。
古アパートで容疑者の一人が変死体で発見された現場に臨場したのが、葛飾署の女性刑事・藤森菜摘でした。
彼女は上司の草加から、半世紀にも及ぶ捜査資料と、当時の刑事・湯浅が記した捜査日記を託されます。上層部から許された捜査期間は「一年」という、厳格なタイムリミットが設けられました。
湯浅や鎌田といった、昭和、平成を生きた刑事たちの熱い想いを受け継いだ藤森は、科学捜査が進歩した令和の技術を武器に、限られた時間の中で真相解明に挑みます。
昭和から平成、そして令和へと繋がった時間の糸――その最後の一ピースを埋めるための一年が、今始まります。

昭和の痕跡はデジタルデータにはない「匂い」や「感触」として残っていました。湯浅や鎌田の捜査ノート、当時の聞き取り調査、写真、録音を駆使してどのような真実にたどり着くのでしょうか?
『百年の時効』口コミ
「百年の時効」には多くの賞賛された口コミが投稿されています。一部ですが抜粋してご紹介します。
「ゼロの焦点とか飢餓海峡を思わせる戦中戦後の闇が背景にあるせいか、緊迫感とリアリティがすごい 文章もセリフも引っかかるところがない、めっちゃ面白かった!」
「各時代を反映した捜査の限界やその当時に実際に起こった事件が時間軸となっているのも面白い。」
「時効の来るその日まで何十年でも諦めずに捜査を受け継いでいく刑事たちの魂に震えます…!」
「社会人になって以来 最もハマれる小説かもしれない」
「本当にはちゃめちゃに面白いので、ぜひお手にとってください。刑事の、伏尾さんの執念が込められた傑作」
「伏尾美紀さんは、女性刑事の描き方が独特な作家さんですよね」
「昭和・平成・令和に渡る時間と四人の警察官、実際の事件など情報量は多いが、一気に読めてしまう面白さ。物語の世界、時代に没入できる作品」

550pもあるのにみんな物語の世界に吸い込まれてあっという間だったという口コミですね。『百年の時効』の執念が人を惹きつけて放しません!
百年の時効
横山秀夫や奥田英朗が
好きな人はすぐ読むべし!
読み終えた今、物語酔いにふらついている。すごい物語だった。
550ページ、まったく途中で本を置くことなく、
食事のときも、その食事を作っているときも、
お風呂もトイレも本を手にしながらだった。
伏尾美紀『百年の時効』(幻冬舎)は、
骨太で、壮大で、人間の苦しみ哀しみ、
そして執念……
すべてが詰まった物語だ。
昭和49年、春の嵐の夜、
東京の佃島である一家が日本刀で虐殺される事件が起きた。
その事件は主犯がひとり逮捕されるも、
犯行現場から推測される共犯者は見つからぬまま時は令和を迎えていた。
昭和、平成、令和と事件に司る3人の刑事が、
まさしく「警官の血」で、
時効が止まっている事件を追い続ける。
単なる犯人探しや謎解きを超え、
物語が広げる風呂敷の
風圧に吹き飛ばされる放心の小説だ。
今日が休みでよかった。
もし休みでなかったとしても
休みをとって読んでいたことだろう。
まとめ
「執念」に込められてた熱量は100年の時の重さを550pで綴り、現代の読者へしっかりと届いている。
伏尾美紀の『百年の時効』は、まさに「刑事たちの矜持を賭けた、最終捜査の行方」を描き切った作品です。
この物語の真骨頂は、緻密な謎解きや意外な真相だけでなく、昭和、平成、令和という三つの時代を貫く人間ドラマの深さにあります。 読者は、事件の謎だけを追うのではなく、「過去」「記憶」「正義」「時効」という重いテーマと真正面から向き合うことになって、時代が変わっても変わらない人間の業と、困難な時代を生き抜いた刑事たちの執念が、ページをめくる手を止めさせません。
「分厚さに身構えるかもしれないが、読み始めるとそのボリュームが嘘のように感じられる」ほど、没入感は抜群です。 骨太でリアルな警察小説、そして長い歴史と人間の背負いを見つめる重厚な物語を求めているなら、本作は間違いなくあなたの期待を超えてくれるでしょう。
これは、単なるミステリー小説ではなく、日本の近現代史と人間の営みを壮大に描ききった警察小説の新たな金字塔です。
刑事たちの熱い想いのバトンが、半世紀の時を超えて繋がれる瞬間のカタルシスを、ぜひ体感してください。





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